2009年 12月 21日
5年連用日記
久しぶりに街を歩いた。
不況、不況というけれど、街はすっかりクリスマスモード、あちらこちらでサンタさんが笑顔をふりまいている。
私は足早に商店街を抜けようとして、ふと、本屋の前で足を止めた。来年用の手帳をまだ用意してなかったことを思い出したのだ。
本屋に入り、いつも使っている手帳をレジに持っていこうとして、手帳の隣の棚にたくさんの日記帳が並んでいることに気づいた。
日記・・・・

私は急に胸がつまった。

遠い日の、思春期と呼ばれた日々、生きていくのがつらく、苦しいと感じていたころ、私の唯一の慰めは日記を書くことだった。
大学ノートに取り留めのないことを夜を徹して書き、自分の書いたものを読み返してはまた書き足していったあのころ・・・

私は本屋の店先でじっと物思いにふけった。日記を書かなくなってどれだけの時間が過ぎていったことだろう。
書くことで自分を自分で救い、しかし、書くことで自分を追い込んでもいた事に気づいたとき、私は日記をやめた。

本屋にはさまざまな日記帳が並んでいた。
私はいくつかを手にとって眺めぱらぱらとページをめくった。
どんな人が、どんな思いでこの日記帳を買ってゆき、そしてどんなことがかかれるのだろうか。

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ふと、5年連用日記というのが目に付いた。
5年連用・・
同じ日付のものが5段になっている。私はまた考えにふけった。
5年後、私はどうなっているだろう。第一、この世にまだ存在しているだろうか、生きているとしても、どんな状態でいるのだろう。それは誰にもわからないし、いくら考えても答えがわかるものではない。
私は買おうかな?と思った。
5段になっている日記帳は昔私が思っていた自分の思いのたけを書き綴る《日記》というものとはまったく異なり、たんなる行動記録に過ぎないものになるだろう。でも、それが返っていいかもしれない。
この日記帳が終わるまで、ともかく元気でいよう、毎日日課としてその日の行動を記録してみよう。
人生のたそがれが近づいている今、かぎりない薄明が来る前に、一つの目標として、この日記帳が終わる日まで、ともかくその日まで、精一杯生きてみよう。
そう思い、私は日記帳をレジに持って行った。

by mimishimizu3 | 2009-12-21 09:34 | エッセイ


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