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2010年 03月 23日
「牛の鈴音」
「牛の鈴音」という韓国映画を見てきた。
これは以前、私がとっているメルマガの主催者であるK氏が、そのすばらしさをメルマガで何回もかいておられたので、福岡で上映されたらぜひ見ようと思っていた映画である。

ストーリーもない、ナレーションもない、大きな事件も起こらない、政治的メッセージなどなにもない。あるのはただ、老いぼれた牛と、その牛を愛している年老いた農夫と口うるさい妻、韓国の田舎の美しい自然だけといってもいいだろう。

だが、30年以上、機械化もせず、農薬も使わず、時代に逆行するように生きているおじいさんが、牛と一緒に田畑を耕し、荷物を運んでいる映像を見ているうち、その映像が、決して力んだりせず、淡々としているだけに、より「現代」が失ってしまったものの大きさに気づかされてくる。

「牛の鈴音」_f0103667_15221677.jpg


牛がゆっくりとゆっくりと坂道を登る。機械が一気に田おこしをしているとなりで、牛が一足一足踏ん張って田を起こしてゆく・・・
『早いこと』『効率的であること』『生産性があがること』それらがはたして、本当に豊かさをもたらしていたのか・・・
「遅いこと」「効率が悪いこと」「生産性もあがらないこと」、それが、こんなにもゆたかで、暖かく、こころやさしいことであったのか・・・

韓国の田舎のしみじみと心にしみる四季を背景に、一頭の牛を愛する老人から伝えられるメッセージには、多くの人は心を揺さぶられないわけにはいかないだろう。すばらしい映像美とともに、牛の首につけられた鈴の音が今でも私の耳の中でなっている。

by mimishimizu3 | 2010-03-23 15:23 | 映画


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