2010年 08月 23日
キャタピラー
キャタピラー
第60回ベルリン映画祭で、主演の寺島しのぶさんが、最優秀女優賞(銀熊賞)を獲得したことは、マスコミでも大きく取り上げられました。日本人として35年ぶりの快挙とか。
トロフィーを受け取った寺島さんが、そのトロフィーに口付けした後、どうだ!!といわんばかりに唇をぎゅっとかみ締め、トロフィーをぐっと前に突き出している映像を見たとき、私はこの女優さんは並みの女優さんではないな、と思いました。(この映像はリンクを張ってある公式HPからも見ることができます)
父親は有名な歌舞伎役者、母親は女優という恵まれた環境のもとで、「演ずる」ということはこの方にとって、天性の仕事なのかもしれません。輝かしい賞を撮った演技を見てみたいという思いと、同時に、「キャタピラー」・・・芋虫、という題名にも私は興味を覚えました。

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太平洋戦争末期、中国の戦場から、夫は両手両足をなくし、顔はケロイド状になり、耳も聞こえず、話すこともできない状態で帰還します。勲章を三つももらい、新聞にも大きく取り上げられ、周囲は「生きている軍神様」と祭り上げます。
妻である主人公は夫の世話をするのが「お国のためにつくす」崇高な任務なのだと周囲からも言われ、自分でもそう思い、懸命に尽くします。
両手、両足をなくし、芋虫のようになった夫、それでも、食欲と性欲だけは旺盛にあり、彼女は夫の性欲を満たすため求めにも応じます。この辺の箇所は、昔、ロマンポルノを撮っていた監督、決してきれいとはいえない場面のはずなのに、それを、悲しみをたたえ、叙情的に見事に映像化しています。
やがて、徐々に「生きている軍神様」と祭り上げられることに、疑問を感じ始めた主人公・・・

戦争の愚かしさ、悲惨さ、残酷さ、恐ろしさ、そして滑稽さをも、この映画は強烈に告発します。
「忘れるな、これが戦争だ」
映画のキャッチコピーは端的にこの映画の本質を言い当てています。

戦後65年、まだまだ若い監督によって、このような映画が撮られたことに、私は敬意を表したいとおもいます。
私が映画館で見たときはウイークデーの午前中でした。が、座席はほぼ満席でした。前評判も高い映画ですし、前評判を裏切らない映画です。
多くの方に見てほしい映画だと思いました。

by mimishimizu3 | 2010-08-23 16:24 | 映画


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