2011年 01月 28日
「とっとーと」
博多弁に「とっとーと」という言葉があります。
最近、この言葉がそのままお菓子の名前になって発売されるようになりました。
私は、この「とっとーと」という博多弁には楽しい思い出があり、お菓子が出たときから気になっていました。

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福岡に住むようになってまだ日も浅いころ、街の中心部にあるコンサートホールで行われる音楽会に行きました。
初めてのところでもあり、うろうろしながら空いている席を探しました。
通路側にあいている席があったので、いちおう隣に座っている人に「ここ空いていますか?」と声をかけると・・・・
「とっとーと」

抑揚がない平坦な言葉です。でも、すぐに「ここは取ってありますよ」という意味だろうと理解できましたので、ほかにないかな、とまたあたりを見回しました。
ところが、私のすぐ後から来た人が、私と同じように隣の人に言うのです。
「ここ、とっとーと?」
それは語尾をきゅーと上げて、疑問形にするのです。
すると聞かれた人が答えました。
「とっとーと」

私はその会話を聞いてびっくりしました。
同じ言葉なのに語尾を上げるか上げないかだけで、まったく別の用を果たすのは標準語だって同じです。
でもこの「とっとーと」は、「とっ」という促音の重なりで、なんともいえないリズムとユーモアをかもし出しています。語感からくる暖かさとおかしみは、方言の持つ豊かさとおおらかさといってもいいでしょう。それは、博多という街の持つ包容力のように、そのときの私には思えました。

初めて聞いた本格的な博多弁が楽しい博多弁であったことは、私をこの街にすーとなじませてくれた一つの力になったのかもしれません。

「とっとーと」というお菓子がはたして「取ってありますよ」という意を呈しているのか、「取ってありますか」という疑問形なのか・・・・
どちらにせよ、楽しい博多弁がお菓子の名前になったことは、私の思い出をまた揺すってくれました。

by mimishimizu3 | 2011-01-28 09:03 | エッセイ


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