2011年 12月 24日
クリスマスの思い出
今日はクリスマスイブ、日本列島は、クリスマス寒波に見舞われ、全国的に荒れた天気になるようです。
そんなイヴの夜を、皆様はいかがお過ごしでしょうか。

クリスマスイブ、といえば、私には忘れられない思い出があります。

高校1年の秋、クラスに一人の転校生がやってきました。
T子さんというその人は、都会の大きな高校から、公務員の父親の転勤で、私の通う、小さな高校に来たのです。学力も私たちより遥かに上だということはすぐにわかりました。でも、そんなことをひけらかすこともない人柄で、私は席も近かったこともあり、すぐに親しくなりました。
ある社会科の授業のときです。なにかのついでだったのでしょう。「原罪」という言葉が出てきました。私は始めて聞く言葉でした。教師が言いました。
「原罪、ってなにか知っている者、いるか・・」
誰も手を上げませんでした。
教師は数秒間、宙を見詰め、そして言いました。
「T子さん、あなたなら知っているよね」
それはあきらかに、この学校の生徒にはわからないだろうけれど、優秀な転校生なら知っている、ということを私たちに示しているようでした。
T子さんはまるでいやでたまらないように、ゆっくりとたちあがると、ぼそぼそっと、小さなつぶやくような声で答えました。
「人間が生まれながらに持っている罪、のことです」

そのとき、私は脳天をぶち抜かれたようにびっくりしたことを今でもありありと覚えています。
人間が生まれながらに持っている罪??なにそれ!!・・・私にも「罪」があるの・・生まれたということが「罪」なの?・・・それはそれまで、私の考える範疇にはまったくない発想でした。
その授業がそれ以上、どういう風に展開して行ったか、その記憶は定かではありません。ただ私の脳裏に「原罪」という言葉だけが鮮やかに記憶されたことだけは確かです。

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その年、クリスマスが近づいたとき、T子さんが私に言いました。
「うちで、クリスマスパーティをするんだけど〇〇ちゃん(私のこと)来ない?」
私は喜んでその招待を受けました。
招待されたのは、私のほか、あと3名でした。
リスマスイブの夜、その日も、風の強い、寒い日でした。
私たちは待ち合わせて夕方、T子さんの家に行きました。
小さな小さな、官舎でした。玄関を入るとすぐにいいにおいがしました。お母さんの手料理だとすぐにわかりました。
狭い部屋でしたが、手作りのクリスマスツリーが飾られ、星が輝いていました。私たちに下さるプレゼントも、きれいな手作りの箱に入って、飾られてありました。
お父さんは皆に賛美歌を渡し、お母さんのオルガン伴奏で、みなで賛美歌を歌いました。
私はそのときになって初めてT子さん一家がクリスチャンであったことを知りました。
お母さんの心のこもった料理もおいしく、それは、ささやかであっても暖かい、本当の和やかさに満ち溢れたクリスマスパーティでした。
外は風が吹き荒れ、帰りは難儀をしましたが心はホコホコと温かかったものです。

それから30年ほどして、同窓会の折にT子さんを囲み、あの時招待された数名が一同に会し、食事をしたことがあります。
みな、小さな官舎のクリスマスのことは良く覚えていて、話しは盛り上がりました。
誰にとっても青春の楽しい一ページだったのです。
そのとき、私はふと思いついて、「ほら、☓☓先生の授業で、《原罪》って出たことあるじゃないの、覚えている?」と聞いてみました。
しかし、誰もその授業のことは覚えていませんでした。
当のT子さんも「そんなことあったっけ・・」というばかりでした。

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「原罪」とは何なのか。私にはいまだによくわかりません。
広辞苑によれば「アダムが神命に背いて犯した人類最初の罪(旧約聖書 創世記) 人間はアダムの子孫として、生まれながらに原罪を負うとものと考えられる」とありますが、そんな説明を聞いても私にはピンときません。

それより、あの時「T子さん、あなたなら知っているよね」と、私たちを見下すように言った教師に私の心は傷つき、「原罪」という言葉とセットになって私の脳に収められてしまったのでしょう。

クリスマスイブ、楽しかった青春、傷つきやすかった青春、こもごもの思い出がよぎります。

今宵、クリスマスイブ、皆様の上にも、良いことがありますように・・・
メリー、メリー、クリスマス!

by mimishimizu3 | 2011-12-24 13:04 | エッセイ


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