2012年 01月 28日
縁切り地蔵
縁結びの神様、というのはあちらこちらにあります。
「縁結び」という言葉を聞くだけで、暖かい出会い、出会ったカップルの幸せそうな姿まで思い描かれ、心がホコホコしてきます。

しかし、人間とは、そう簡単ではない、結構ややこしく難しいものです。
縁あって結ばれた二人が、その後うまく行かず、「縁を切りたい」と思うことだってあるでしょう。
離婚というのは、結婚より数倍の労力が要る、と聞いたことがありますが、確かに「縁を切る」というほうがさまざまな問題が山積して、難しいものかもしれません。

縁結びと反対に「縁切り地蔵」というお地蔵様が福岡の郊外にあります。
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ここでは「ある事情」とぼかしていますが、その事情とは、夫となるべき人が婚儀の直前、別の女と出奔し、それを悲しんだ新嫁がその場で自害して果てた、ということです。
それを哀れんだ土地の人が手厚く葬り、そこから男が別の女に惹かれていかないように・・・その女と別れてさせてあげてください・・という願望が、いつの間にか「縁切り地蔵」となったと言われています。

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ここにいくと、人間のすさまじい一面を見るような気がします。
この写真の「祈願書」の二人は、同姓でした。正式に結婚したカップルなのでしょう。堂々と本名を書いています。私がブログで出すにはいかがかとぼかしたのです。
いったいこの「祈願書」を書き、ここに持ってきて、お堂の中に貼ったのは誰なのでしょう。
この二人のどちらかなのか、あるいは夫の愛人なのか、妻の不倫の相手なのか・・・あるいは財産がらみの親族なのか・・・想像は膨らみます。
「縁切り」「縁切り」「縁切り」・・・とこれだけ青白い、不気味な情念を燃やしつづけて、何回も、何回も書き続けるのは相当の心の強さがなければできないことでしょう。

一方、人間が「縁」を切りたいのは何も人間関係だけとは限りません。
病気との縁も切りたい、薬物依存から逃れたい、暴力団との縁も切りたい・・・さまざまな切実な「縁切り」願望があります。
そうした「縁切り」の願いが狭く、決してきれいとは言えないお堂いっぱいに貼られています。

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私も病気との縁が切れますように・・・と祈ってきました。
私が行ったとき、ちょうど高齢の女性がが一心に祈っておられるところでした。祈りがすんでお話を伺ったところ、自分の腰痛から縁が切れますように、ということと、最近孫娘がバイクに凝っているので、バイクとの縁が切れますように、と祈っていたとのことでした。そしてこの「縁切り地蔵」さまは霊験あらたかだから、きっと願いをかなえてくれますよ、といわれました。
遠くは北海道、沖縄からもお参りがあるとのこと、縁結びはどこにでもあっても「縁きり」を願うところは少ないのでしょう。

皆様にはなにか「切りたい縁」がありますか。
そんなの何もない、といわれる方はきっと幸せな生活を送っていらっしゃるのでしょうね。

by mimishimizu3 | 2012-01-28 10:01 | 福岡


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