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2012年 03月 30日
春の心は・・・
春、花の咲く木はたくさん、たくさんあるのに、桜に対して日本人が持つ、この独特な、特殊な感情は一体どこから来るのでしょうか。

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  (3月29日の近所の桜)

春が近づくと、桜が気になりだします。
いつ咲くのか・・・今年は早いのか遅いのか・・・天候、気温、風・・・
桜の開花予想に、大げさに言えば日本中の人が、固唾を飲んで見守っているといってもいいでしょう。

これは何も今に始まったことではなく、1200年前の歌にも残されています。

    世の中に 絶えて桜の なかりせば

       春の心は  のどけからまし            在原業平   伊勢物語82段   
 
(この世の中に全く桜がなかったとしたら、春の人の心はのんびりしたものであったろうに・・・)

咲けば、1部咲きだ、5部咲きだ、といって愛で、お花見を楽しみ、散り行けば、それはそれで、「桜吹雪」として愛する・・・

伊勢物語はこの歌の続きとして次の歌を載せています。

    散ればこそ  いとど桜は  めでたけれ
 
       うき世になにか  久しかるべき        

(あっさり散るからこそ、桜はますます賞美に値するのだ、そもそもこの辛い世の中に、何が永続きするであろうか)

春の訪れを告げる桜は、色も形も大きさも、すべて日本人の感性にマッチするものなのでしょう。
そしてまた、「散り行く姿」の美しさも、ほかの花の追随を許さないほどの魅力があります。

今年また、桜の季節がやってきました。
今年、私は家の近くの桜を愛でに行きたいと思っています。

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(ヨウコウザクラは華やかですね)

by mimishimizu3 | 2012-03-30 11:10 | エッセイ
2012年 03月 29日
赤い若芽
草むらにひときわ目立つ赤い色がありました

透き通る、繊細な赤です

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透過光をとおした葉っぱは特に目を引く美しさでした

旺盛な生命力

人に嫌われようが、「雑草」とさげすまされようが
赤い、透き通る新芽は
そんなことにお構いなしに

伸びようとする自分の命を
精一杯春の日差しの中で
輝かせていました

by mimishimizu3 | 2012-03-29 09:59 |
2012年 03月 26日
道草の橋
下校時、小学生がランドセルをカタカタと鳴らしながら、橋の上まできました。
突然、ひとりの女の子が欄干のそばにしゃがみこみ、動こうとしません。

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「用草を食う」という言葉を広辞苑でひくと次のように出てきました。

(馬が路傍の草を食って進行が遅くなることから)途中で暇を費やす、横道にそれて手間取る

この女の子は、道草を食って何を眺めていたのでしょう。
橋の下には春の光を浴びたせせらぎがあります。
風も心地よく吹いています。
小鳥の声も聞こえます。

今の時代、「効率」という名の下に、目的地に以下に早く着くか、いかにまっすぐに行くかが問われているようですが、この女の子はまっすぐに家に帰るのではなく、ちょっと「道草を食って」います。

「効率」より大事な何かを、この子はこの時間で味わっていたのかもしれません。

by mimishimizu3 | 2012-03-26 15:23 |
2012年 03月 23日
生きているって・・・
     生きているって
     ホラ こんなにうれしいの

     生きているって
     ホラ こんなに楽しいの


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     道端で 人に踏みつけられても
     子どもたちに  足蹴にされても
     犬に  おしっこをふりかけられても
     オオイヌノフグリなんて
     とんでもない 名前をつけられても

     でも でも
     生きているって こんなたにすばらしい

     春のやわらかいそよかぜと
     暖かいお日様の光の中で

     小さな ちいさな命が
     命の歌を 
     うたっている   

by mimishimizu3 | 2012-03-23 10:09 |
2012年 03月 08日
どんこ舟の通る橋
お雛様は終わりましたが、私は、お雛様の季節になると思い出す場所のひとつに柳川があります。
「さげもん」と呼ばれる独特な雛飾りでも有名ですが、柳川の「川下り」、「どんこ船」もまた風情のあるものです。

川下りのどんこ船が小さな橋をくぐって行きます。船頭さんの頭がつかえてしまうほど・・・
狭くて低い橋を潜り抜けぬけなければいけません。ここは船頭さんの腕の見せ所、橋の上では、カメラマンが待ち構えています。
20011,3,19撮影

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by mimishimizu3 | 2012-03-08 11:24 |
2012年 03月 04日
舞鶴公園の梅
福岡の舞鶴公園
桜の名所でもありますが、梅園もあります。

それほど大きな規模でもなく、こじんまりとした梅園ですが、ここはなんといっても福岡城の城跡
400年前のお城はほとんど残っていませんが、石垣だけは当時のままいくつも残っています。

私がこの梅の園が好きなのは、その石垣と寄り添うように梅があるからです。

「城跡の梅」
石垣が静かに栄枯盛衰を語る傍らで、梅が待ちに待った春を語っていました。

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遠く福岡タワーも見渡せます。
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by mimishimizu3 | 2012-03-04 17:03 | 福岡
2012年 03月 02日
さっちゃんのおひなさま
 ある日、さっちゃんはおかあさんと、街へ出かけました。いとこのみっちゃんが病気で入院しているので、お見舞いに送ってあげるものを探しにいったのです。
 おかあさんはデパートをあちらこちら歩いて、なにがいいかなー、と探しました。ケーキがいいかしら。お花がいいかしら。洋服がいいかしら。おかあさんは一生懸命考えているようでした。
 さっちゃんは、ケーキもおいしそう、お花もきれい。洋服もステキと思いました。でも、おかあさんはなかなか決心がつかないようでした。
 そのうち、さっちゃんは疲れてしまいました。デパートは人がいっぱいいて、おかあさんの手をしっかりにぎっていないと迷子になりそうです。
 ふと見ると、ノートや、お手紙を書く紙などを売っているところに、きれいな紙のおひなさまがありました。さっちゃんが大好きな“飛び出す絵本”のように、折りたたんであるきれいな紙をぱっと開くと7段のおひなさまが飛び出してくるのです。さっちゃんは思わずおかあさんの手を離し、そのおひなさまのところに行きました。
さっちゃんは手にとって開いてみました。すると一番上のお雛様がうれしそうに、さっちゃんの手の中でにっこり笑ったのです。さっちゃん、はびっくりしました。
 「さっちゃん、さっちゃん」おかあさんがあわててそばに来ました。「手をはなしちゃダメじゃないの」
 さっちゃんはおかあさんに言いました。
 「おかあさん、このおひなさま、笑うのよ。さっちゃんに買って」おかあさんはちょっと不機嫌そうな顔をしました。
 「紙のお雛様が笑うわけないでしょ。それにおひなさまなら今、おうちに飾ってあるじゃないの。あのお雛様は何十万円もしたのよ」何十万円というところを、おかあさんは特に強く言ったようでした。そばにいた人がふっと振り返っておかあさんを見ていました。

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 「あんな立派なおひなさまがあるのに、なんでこんな紙のおひなさまをほしがるの。さあ、いきますよ」
さっちゃんは悲しくなりました。今家に飾ってある立派なおひなさまも、とってもとっても好きです。でも、この小さな紙の飛び出すおひなさまだって、とってもとってもかわいいのです。なにしろ、さっちゃんに笑いかけてくれるのですから。
 でも、おかあさんが見たときは笑っていませんでした。だから、おかあさんはおひなさまが笑うなんて信じないのです。
 しばらく行くと、おかあさんが、「そうだ!!」と、すっとんきょうな声をあげました。
 「さっちゃん、あの紙のおひなさま、買いましょう。」
 おかあさんは急いで引き返すと、店員さんに「そのおひなさま3つください」といいました。さっちゃんはまたびっくりしました。3つもどうするのでしょう。さっちゃんは一つでいいのに・・・と思いました。
 でも、店員さんが包んでくれる前にさっちゃんは一つ一つのおひなさまをみました。すると、どのおひなさまもさっちゃんを見て、にっこりほほえんでくれたのです。
さっちゃんはうれしくなりました。
 「さあいくわよ」店員さんから紙のおひなさまを受け取ると、おかあさんはそういってさっちゃんと手をつなぎました。

「あのね。おかあさん・・・」さっちゃんがいいかけようとした時、「これはね、」とおかあさんが話し出しました。おかあさんはこのおひなさまを病院いるみっちゃんと、“施設”とかというところにいる、おばあちゃんに送ろうと思ったらしいのです。
 家にかえると、さっちゃんはみっちゃんとおばあちゃんに、ひらがなだけのお手紙を書きました。
 「このおひなさまは、きっとびょうきをなおしてくれます。はやくよくなってね。」
 翌日、さっちゃんはまたおかあさんと手をつなぎ、家を出ました。郵便局におひなさまを出しにいくのです。でも、その前におかあさんはお花やさんに寄って、みっちゃんとおばあちゃんのところにお花を届けてくれるように頼みました。それから郵便局に行きました。郵便局のお姉さんはぽんとスタンプをおしました。さっちゃんはおひなさま痛くなかったかな、と心配になりました。でも、大丈夫だったようです。

 桃のはなが全部散ってしまったころ、みっちゃんが退院したと電話がありました。
 みっちゃんのママとさっちゃんのお母さんの長い長いでんわがすみ、みっちゃんとさっちゃんが話しましたみっちゃんは小声でさっちゃんにいいました。
 「そこにさっちゃんのおかあさんいる?」
 さっちゃんが「いないわよ」と答えるとみっちゃんはやっと安心したのかさっちゃんに言いました。
 「さっちゃん、知っていた?あのおひなさま、笑うのよ。でもね、それは、私が一人でいるときだけなの。ママが来るとおひなさま、もとのすまし顔になるんだから」
 さっちゃんはくっくと笑いました。そうなんです。さっちゃんのときもおかあさんがくると、おふなさまはツンとすました顔に戻ってしまうのです。
 「うん。こどもにしか笑ってくれないのね。大人にはダメなの」さっちゃんがそういうと、みっちゃんも「そう、そう」といいました。そしてふたりは楽しそうに電話でわらいあいました。
 おばあちゃんからも電話がありました。あのおひなさまがおばあちゃんのお部屋にきてから、おばあちゃんの膝の痛みがなくなったそうです。さっちゃんは「おひなさま笑った?」とおばあちゃんに聞きました。「エッ、なんのこと?」おばあちゃんはいいました。それでさっちゃんはもっとはっきりわかりました。
 やっぱりあのおひなさまはこどもにしか、笑ってくれないのです。
 おばあちゃんとのでんわが終わるとさっちゃんはおひなさまのところにいきました。おひなさまはにっこり笑ってくれました。さっちゃんは「いつまでも大事に持っているからね」とおひなさまにいいました。
 おひなさまはこっくりうなずいたようでした。

by mimishimizu3 | 2012-03-02 11:16 | 童話