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2009年 10月 30日
沈まぬ太陽
今話題の映画「沈まぬ太陽」を見てきました。
山崎豊子氏の作品の中で、なかなか映画化がなされなかった作品だったそうで、パンフレットに書かれた山崎氏の文章からも、やっと映画化された喜びが伝わってきます。
沈まぬ太陽_f0103667_1750231.jpg

映画の最後に「これはフィクションであり、登場人物、団体は、すべて架空のものであり、実在の人物、団体とは関係ありません」との説明文が出ますが、誰がどう見たとしても、「国民航空」と映画の中で呼ばれるこの航空会社は日本を代表するN航空を連想します。
なにしろ歴史的ジャンボ機の墜落、「お巣鷹山の尾根」がそのままの名前で、日時も事実とまったく同じく設定されているのですから・・・・

映画は前評判どおり、見ごたえのあるものでした。
主人公,恩地を演ずる、渡辺謙氏の迫力ある熱演、恩地と一緒に労働組合を戦いながら、会社側につき、女、金、あらゆる手段を使ってのし上がってゆこうとする行天を演ずる三浦友和氏の苦渋に満ちた渋い演技、脇役の女優陣もそれぞれ良い素敵な味を出していました。

労働組合の委員長をして、安全を守ろうとした主人公が、報復人事で、カラチ、テヘラン、ナイロビと就航路線もないいわば「僻地」に追いやられながらも、信念を曲げず、自己の信ずるところを貫いてゆく壮烈な姿は胸を打ちます。。
恩地が「会社とはなんなんだ!」と叫ぶ場面があります。まさに、「会社」とはなんなのか、「仕事」とはなんなのか、「出世」とはなんなのか、さらに「人生」とはなんなのか・・・この作品で作者が投げかけたのは、そういうことだったのかもしれません。

3時間22分の映画を見終わって、家に帰り着き、夕刊を見ると、一面のトップ、「日航再建 特別立法検討」の文字が飛び込んできました。まさに「むべなるかな」と思いました。

by mimishimizu3 | 2009-10-30 17:54 | 映画


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