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2011年 05月 18日
3・11の子ども達
今朝、新一年生が元気いっぱい「いってきまーーす」とお母さんに手を振って登校していく姿に出会いました。
かわいい笑顔です。黄色いカバーをかけられたランドセルを背負い、黄色い帽子をかぶって足取りも軽く新緑の中を友達と笑いながら歩いていく光景は、見ているほうまでほのぼのと優しい気持ちにさせられます。
それを見ていて、ふと、思い出しました。

どこの国でも、歴史的事件や世相はある種の世代を生み出すものです。日本でも、戦後世代とか、団塊の世代とかいわれています。
今、アメリカでは、「9・11世代」という言葉があるそうです。10年前のあのテロのとき、小中高生だった世代のことで、この世代はと
りわけ外国への関心と愛国心が強いという特徴があるそうです。

今年3月11日、日本は未曾有の大災害に見舞われました。
津波に飲み込まれ、家を失い、家族を、親を失った子供もたくさんいます。自分は命だけは助かったけれど、想像を絶する恐ろしい体験をしてしまった子供たちの心はどれほどの深い傷を残したでしょう・・
PTSD、(心的外傷後ストレス)の深さを思うと言葉もありません。

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5月16日、朝日歌壇にはこんな歌が載りました。
 
   起立する子らの後ろに遺影抱く
       入学式に二人の母よ         千葉市  加藤伊津

これは、入学式に出られなかったわが子の遺影を抱いて出た母の姿を歌ったものですが、私は、そこに居合わせた子ども達の姿を思い浮かべました。本来なら一緒に仲良く入学式に出るはずだった友だち、遺影でしか出席できなかった友だちのその原因を、新一年生は幼いながら忘れることはできないし、その悲しみは幼い心の底にずっと鳴り響いていたことでしょう。

アメリカの「9・11世代」と並ぶように、「3・11世代」とよばれる世代がこれから生まれるのかどうか、それは私にはわかりません。
ただ、心に深い傷をおった子供たちが、心の底で何かを感じつつこれから成長していくことだけはたしかです。
大災害に出会ってしまった子ども達がこれから心の傷をどう克服していくのか、元気に登校していく新一年生の坊やを見ながら、私は3・11の子供たちに希望の火を消さないで・・・と影ながらエールを送らずにはいられませんでした。

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by mimishimizu3 | 2011-05-18 09:05 | エッセイ


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